本日は、平成30年(2018年)3月14日水曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

本日は、就活中で営業志望、
文系の学生さんが持たれる疑問↓

文系出身者が、
キーエンスが扱うような技術的商品の営業ができるのか?

そして、キーエンスと同じく、
お客さまが、工場や研究所のエンジニア(すなわち理系の方)である
企業の経営トップ(特に理系ご出身の社長さん)が悩まれている点。↓

文系出身者を営業担当者として採用したが、
果たして、正しかったのか?

以上の疑問について、技術的知識が必要だとされる営業について綴ります。
もちろん私見ですが、
答えはともに【YES(できる・正しい)】です。

製品を実際に使われるお客さまが、
工場や研究所のエンジニア(すなわち理系の方)である場合、
対応する営業担当者が「技術がわかる人」であった方がいいと
考えるのは当然です。

ところが、キーエンスの場合、
本格的な新卒(大量)採用が始まった1986年(昭和61年)度以降、
新卒採用される営業担当者は、技術について素人である
『文系出身者が、ほぼ100%』でありました。
私が入社した、翌年1987年(昭和62年)度以降も同じです。

その技術知識に明るくないはずの、文系の営業担当者が
創業者の期待通り、キーエンスの急成長を実現します
(80年代後半の成長グラフは、
>>>コチラをクリックしてください)。

何故、入社時点でズブの素人といえる
文系の営業担当者が、技術エンジニアに対応できるのか?
そして、たくさんの新規顧客を獲得できるのか?
その主な理由は、入社後の教育(先輩からの指導、勉強会)の
おかげでもあります。
(関連記事は、
>>>コチラをクリックしてください)。

それとは別に、
ひとつ重要なことがあります。
今回、初めて綴ります(心がけの類かもしれません)。
営業所に配属された直後に、
私が先輩から頂いたアドバイスが、それです。
私が配属されたのが、センサより深い技術知識が求められるであろう
計測機器の分野(直販営業)。
当初、機器の勉強に夢中になっていた時期に、
以下のお言葉を頂きました。

『豊富な技術知識を持つことのみが、
トップセールスへの道では無い』

当時、この先輩の言葉は、重みがあるものでした。
先輩がおっしゃるには、確かに技術知識はあった方がいいに決まっている。
但し、いくら技術の勉強をしても、お客さまであるエンジニアの
「本家の技術レベル」に、たやすく到達できるはずがない。

新人が【売れる営業担当者】になるには、技術知識の他にも
習得すべきことがあると。
当時は「何故?」とも思ったのですが、
後に、それは正しいことであったと知ります。
キーエンスで営業表彰を受けたのも、
技術志向のみに走らなかったからだと思っています。

営業力≠技術知識を悟った
キーエンス営業経験者の共通点

キーエンス退職後、同じく技術エンジニアを相手に、
自社企画商品の営業担当者として、入社される方を想定いたしましょう。
受け入れる企業の側は、真っ先に『自社製品の教育』に注力されるでしょう。
営業担当者として知っておくべきこととして、原理、性能等の
技術的内容がメインになるはずです。

ところが、キーエンスの営業を体得して、成果をだされた方は、
その担当する製品について、必ず2つの質問をされるはずです。
質問は、技術的な内容ではありません。
これが、たくさんの新規取引先を獲得できる、
キーエンスの営業担当者の強みでもあるのです。

30年経った現在・・・
私のコンサルティング活動のワンシーン
理系ご出身、経営トップの方とのリンク

B2B(BtoB:企業間取引)・製造業で訪問営業ビジネスを展開される、
ある社長さん。
ご自身は、理系ご出身の方なので、
『営業力とは?』『営業力強化に必要なものとは何か?』
ずっと悩まれていたようです。
採用された営業担当者の、ほとんどが文系ご出身。
その為、一時は『もっとたくさん売るには、さらなる技術知識が必要なのか?』とも考えたが、
『確かに技術知識は、あるに越したことが無いが、
営業という業務では、深い技術知識の習得は、
最優先課題ではないだろう。何か他に秘訣があるはずだ・・・』
まさに、私がキーエンス勤務時代に指導を受けた時と
同じ方向に進まれたようです。
(この社長さんは、私と違って自問自答で進まれるのが凄いですね。
キーエンスの創業者と同じく、日々『考え抜いている方』です)

そして、肝心の『営業力強化』の秘訣を求め、
あらゆるセミナー、研修に何度も足を運ばれたとのことでした。
それでも、何をどうすればいいのか?しっくりこない・・・
B2B(BtoB:企業間取引)・訪問営業ビジネスの特殊性なのか?
営業力というのは属人的な要素のみなのかな?と、半ば諦めかけられた頃、
偶然にも、私とのご縁がありました。

お目にかかった当初、営業力が強い企業(キーエンス)出身の
経営コンサルタントということで、
(もしかしたら、棒グラフなどの世界・ノルマ主義の話題がでるのかな?
それだと困るな)と懸念されていたようです
(社長さんのご懸念は、過去のコンサルシーンでよくあったことです:笑)。

そして、誰もが実践できるスキルアップ研修実施の結果、
『営業力の強化・・・求めていたのは、これだ!』と、
ありがたくもご評価いただけました。

正直申し上げて、私は、
この社長さんの業界(特に技術的な深い内容・知識)について、
さほど明るくありません。
それでも、B2B(BtoB:企業間取引)・訪問営業ビジネスの分野では、
業界、取扱商品に関係なく、
売上高伸長に必要な【共通の普遍的内容(スキル・ノウハウ)】が存在します。
それは、キーエンス以外の企業でも『簡単に実践できる内容』です。

結局、現在のコンサルティング活動の場面でも、
キーエンスとライバル会社のアンリツ勤務(直販営業)で知ったこと、
すなわち、営業力≠技術知識
(営業成績の向上に必要なのは、技術知識のみだけでは無いですよとの
経験値が活きているのであります)。