本日は、平成30年(2018年)3月4日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタントの
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

世間では、来春ご卒業予定の大学生の方の
就活開始でしょうか?
どうも景気がよろしいようで、学生さんにとっては
緊張感の中でも、少しはホットされる環境でしょうか?

かつて綴りましたが、私の就活時代は円高不況で
志望した電機業界が「どしゃぶり」でした。
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そんな中で新卒採用して頂いたキーエンス。
入社後に、直販営業担当者で奮闘・・・
決して、楽な仕事ではありませんでしたが、
その後の人生に、大変役立ったのは事実です。

そういう経験から、学生さんにあまり良いイメージが無いであろう?、
営業という仕事にも関心を持って頂きたいと思います。
とりわけ、キーエンスのように営業担当者を
きちんと育成できる企業に
いちどは、目を向けられてはいかがでしょうか?

以下は、
30年前のキーエンスで、実際にあったお話しです

キーエンスに勤務していた1年目の冬。
いまと違って、暖冬の1988年(昭和63年)でありました。
当時、パソコンやインターネットなどは
企業や家庭に普及しておりません(爆発的普及は1995年:平成7年以降ですね)。
働く人に迫る環境変化も、そう感じない時代だったかもしれません。

宴席(月末締切日の達成会)での記憶です。
お世話になった凄腕の先輩(責任者)が
語られた「将来の予想(まさに21世紀である現在の予想)」です。
この先輩には、何度も登場頂きました。
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私が所属していたのは、精密計測機器をメインとした販売グループ。
当時のキーエンスで、最も付加価値の高い商品群を扱う部門。
高額な機器であるため、そう簡単には売れません。
もちろん、押し売りなどできるはずがありません。
また、メイン機種が後発参入商品。
先行する大手ハイテク企業の存在もあり、
売る難易度は、更に高いものでありました。
その点からも、メンバーから
「正直キツイ」という本音が出ます。
先行する大手ハイテク企業の商品一例は、
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一方、責任者は、
日頃の顧客対応で『押し売りの姿勢、気合・根性論』を、
特に嫌っていました。
いつも、ロジカルで前向きな思考を持たれていて
本当に魅力のある方でありました。

弱音を吐くメンバーに対して、責任者は違う観点を持っていました。
『今やっている仕事は、
キツイかもしれないが、将来にわたって必ず役に立つはずだ』と。

理由を尋ねると、
(当時インターネットが無い為「コンピュータ」とい
用語を出されました)。

曰く。
日本の製造業のほとんどは、
いずれキーエンスと同じファブレスを志向するに違いない。
同時に、総務・人事・経理といった間接部門的な仕事は、
「コンピュータ」に奪われるだろう。
結局、製造業で高い年収をキープして生き残れるのは、
コアとなる仕事のみ

そのコアとなり存続できるのは、
製品を開発・設計できる技術エンジニアと、
我々のような、自己完結が求められる営業職のみだと。

営業であれば、なんでも良いというわけではない。
お客さまが熟知している製品の分野は
今後参入業者が増える一方、買い手も資材購買の担当者に代わって
「コンピュータ」が、どの会社から購入すればメリットがあるか?
価格・納期等を算出して、自動発注するようになるはずだ。
そうなると、資材担当という業務と、自動発注に対応する営業の仕事も
縮小する可能性が高い。

一方、お客さまが詳しくない商品、
例えば、我々が扱う特殊な計測機器の類は、
購入前に、必ずといっていいほど説明が求められる。
これらを扱う営業(特に直販営業)部門は、
必ず残るはずだと・・・

また、説明が要る商品は、
独占は無理にしても、過当競争を回避でき、
高付加価値を維持する可能性も高い。
理由は、後発参入が容易でないから。
仮にコピーに成功して製品化しても、
肝心の対応する営業(特に直販営業)担当者を育成するのに、
相当労力(費用と時間)がかかる。
しかも、実際に育成できるか不透明である。
世間一般の経営者が、そこまで覚悟して参入を決意できるだろうか?

さらに、
我々は、先行するハイテク企業との受注競争を行いつつ、
成長を目指している。
いまの営業の業務で重要とされる、
PR・説明能力(現在でいうプレゼン能力)と、
受注競争に勝つ対応力を身につけられるということは、
どの会社に行っても通用するし、また重宝されるはずだ・・・
高付加価値を実現する、【考えて行動できる営業職】については
絶対数が限られて、奪い合い(高い報酬)になるだろう。

予言は的中・・・・

いかがでしょうか?私の個人的所感ですが、
30年後の現在、責任者の予言通りになっていると思います。
恐ろしいほど、言い当てていますね。

キーエンスの直販営業で身に着けたことは、
ライバル会社のアンリツに転職して、そのまま活きましたし、
さらなる応用もできました。
転職後、営業という業務(特に顧客折衝)で、
上司や先輩に承認をもらうことはあっても、
「わからないので、教えてください」と尋ねるシーンは、
ほとんど無かったと思います。

あれから30年・・・

ただいま、私は経営コンサルタントとして活動としています。
押し売りなどは、もちろん通用しません。
営業の売るスキルというより、当時鍛えられた
きちんと相手に伝えるというスキルで、
ただいま生活できているのでは?と考えさせられます。
キーエンス、そして先見の明のある
この凄腕の責任者の方に学べたこと、
日々感謝あるのみです。