本日は、平成29年(2017年)3月17日金曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス社員、中小企業診断士の立石です】

就活を迎えておられる学生の皆さまに、今回はメーカーの「直販営業」を語ろうと思います。
もちろん、私個人の体験談ですので、あくまで参考としておつきあいください。
本日綴ります【直販営業】の分野は、
BtoB(企業間取引)・メーカー(製造業)・お客さまに訪問する企業に限定して語りたいと思います。

キーエンスの直販営業担当者の使命・スキルのひとつ「新規取引先を獲得すること」

実は、BtoB(企業間取引)・メーカー(製造業)において、
簡単に実現するのが難しいことのひとつが、
「営業力で新規取引先を増やすこと」であります。
キーエンスの営業出身者が、退職後に引く手あまたな理由として
特に指示しなくとも「新規取引先」を増やすことが、当然であると認識している点と、
実際にそれを実現できる、スキルを持ちあわせているところにもあると思います。

30年前の1987年。私が新卒入社した当時のキーエンスの強み(いま思えば凄みと表現していいかもしれません)は、
たくさんの新規取引先を獲得する(顧客との取引実現でなく【獲得】という表現が 妥当かと・・・)」という点にあったと思います。
というのも、キーエンスの新規取引先獲得の前段階には、
「先行する大手ライバル会社に受注競争で打ち勝つ」というシーンがあるからです。

さらに、新規取引先の獲得の活動は、永続的な目標である(目標は実際に達成されます)ということです。
この成功は、もちろんキーエンスの創業者の方針・戦略・戦術が功を奏したの同時に、
入社した営業担当者へのスキル・ノウハウの継承(教育)が恒久的に
実施されている成果だと思います。

BtoB(企業間取引)・メーカー(製造業)の直販営業

BtoB(企業間取引)・メーカー(製造業)の直販営業とは、
中間業者(商社等の卸売業)を通さず、エンドユーザー(製品を実際に使うお客さま)に直接販売するセールス形態です。
ただ、売り手のメーカーが希望しても、エンドユーザーのご意向で、直接の売買契約に至らず、中間業者経由で販売される場合もあります。
その為、『直販営業』というものは、広義な意味でエンドユーザーに直接PR・商談フォローする営業スタンスと考えてもよさそうです。

ここ数年、セミナー等で(コチラをクリックしてください)就活中の学生の皆さまと
お話し頂く機会があります。
その「直販営業」スタイルの代表格ともいえるのが、キーエンスのイメージもあってか、
『直販営業』の会社に入社すれば、営業のスキルが上がるというイメージが先行しているようです。
確かに、キーエンスで直販営業を習得することは、上記の通り全くその通りだと思いますが、
「直販営業」の会社が全てそうだと定義するのは、危険だと思います。

ちょっとスタンスの違う直販営業

経営コンサルタントとして独立してから、経営相談する機会が多いのですが、
どこの社長さんも売上高伸長を、真剣に目指しておられます。
研修や営業力強化というリクエストで伺うと、ほとんどの経営トップの方は「新規取引先を増やすことが課題である」とおっしゃいます。
実のところ、BtoB(企業間取引)・メーカー(製造業)の分野では、直販営業のスタンスをとる企業は、相当数存在しています。その中でも、高精度・特許・特殊な製造ノウハウが必要な商品を開発・販売している会社も少なくありません。「ウチは製品がいいので、中間業者に販売を頼む必要が無い」という理由で、直販営業のスタンスを採用しているわけです。

確かに、他社が追随できない競争力の高い技術をもっていれば、新規開拓に注力する必要がありません(極端な表現ですが、営業しなくてもお客さまが買いにきます)。仮に、取引先がいつも固定していて、大口受注の顧客であっても、下請け扱いされることなどありません。正直いってメーカーとして、すばらしい経営だと思います。こういった企業では、技術力とともに営業力が強い会社もありますが、営業部門が極端にぜい弱である企業もあります。その場合、直販だと聞いて入社したが、営業力で新規顧客の獲得を実現するといったスキルは身に着かない・・・そういうギャップがある場合もあります。もちろん、技術力・製品力にあぐら経営者というのは、ごくまれです。営業部門の強化をいつも真剣に考えておられます。(そういった背景で、当方にコンサルティングや研修の依頼が来るのですが・・・)。ということで、「直販営業」にも、さまざまなスタンスがあるのだと、今回お知りおき頂ければと思います。

私もそうでした。営業職を嫌う学生さんへ

突然話はそれますが、自身の反省もかねて、今回カツをいれたいと思います。
前回綴りましたが、昔も今も新卒の学生さんには営業職が【キツイ】という印象があるかもしれません。私も就活中は、同じことを考えていました。
30年ほど経過した今、いきなり突き放すようで恐縮なのですが、
『報酬を頂くために働く以上、どこの会社でも、また(営業職に限らず)どの職種でも正直言って楽なことはない』と、 あらかじめ覚悟されたほうがいいと思います。

『楽な会社』というのは、得てして突如経営危機に陥る場合があったり、
『楽な仕事』というのは、実は、本人のみが手を抜いている結果であったり・・・
いずれにしても、「楽」によっては、突如職を失う場合もあると考えてよいと思います(そんな現実は、 この目で何度も見ています)。

ちなみに、入社後の仕事、特に営業部門で優秀な成績を残す方と、本人の学力偏差値、学歴、体力、語学力といった要素とは、ほとんど関係ないという事実を経験しています。 これは全ての企業の営業部門で、ほぼ共通のことだと思います。つまり、その後の人生で大逆転できる可能性があるのが、営業職でもありましょう。
ただ、現在のキーエンスの営業部門では、私の勤務していた時代と異なり、上記のいつくかの要素が入社後おそらく必要だと思います。
その私見は、別の機会に。
→追記 最近(21世紀以降)の新卒入社でキーエンスで活躍されている方は、こういう方が多いかと思います >>>コチラの記事をクリックしてください。