本日は、平成28年(2016年)11月6日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス社員、中小企業診断士の立石です】

本日は、みなさまの会社が「本当はできるはずのこと」です

主に工場で実践される、有名な合理化の3S(英語の頭文字がすべて「」です)をお題に綴っております。
Simplification 単純化
Standardization 標準化
Specialization 専門化

今回は、前回のSpecialization (専門化)のつづきを語りたいと思います。
もちろん、工場での話しではありません。飛躍いたしますが会社組織の話題で、営業体制のお話しをしています。
キーエンスのように、事業部(担当製品群)別に専任の営業担当者を置くこと。みなさまの会社ではいかがでしょうか?

『キーエンスに問い合わせれば、話が早い』。経験談『遠方であれ、専門性のある営業は地域密着営業をも凌駕する』

キーエンス勤務時代、私は営業所より、かなり遠方となる地区を担当しておりました(詳しくはコチラをクリックしてください)。私の担当地区にも、キーエンスの営業所があったのですが、事業部が違うため、私が担当する機器の営業担当者は存在しませんでした。担当地区には複数のライバル会社の営業所があります。ライバル会社は、すべて先発参入の企業であります。遠方から訪問する私は、もちろん後発参入。その都度、ライバル会社の地域密着営業担当者との一騎打ちとなるわけです。これは、同じ営業所の販売グループの先輩方と同じ境遇です。
お客さまの近くに営業所がある・・・地域密着営業のスタンスというのは、活動密度が高いため、間違いなくお客さまとも顔見知りとなっているはずです。また、納入実績先に対しては、キーエンスではご法度の【接待交際】という手段もあるはずで、確固たる関係強化が築かれている場合も想定されます。通常は、地域密着営業のほうが優勢な状況だと判断されるでしょう。
それでも、担当するすべてのエリアで、後発の参入機器を取扱う我々の販売グループのメンバーに、軍配があがる場合が多かったのです。その理由のひとつが【専門性】のある営業担当者が、お客さまを直接サポートする体制にあったと思います。つまり、お客さまが機器の導入検討をされる際には、それまでの常識であった【人的な関係】よりも、質問・問い合わせに対して正確かつ即座に回答する【欲しい情報がすぐ入る関係】を期待されていたからだと思います(いわゆる外部環境の変化でありましょう⇒関連記事は、>>>コチラをクリックしてください)。

【専門性のある営業担当者】にお客さまを対応させる最大のメリット

業種その他の要因もあるので例外もあるでしょうが、たくさんの機種を取扱う会社において、自社の販売する全製品(知識・売り方)を完全にマスターする営業担当者は皆無のはずです。営業担当者が【全ての製品を取り扱う】という方針は、全社的に売上高伸長というイメージが先行しますが、ほとんどの場合、営業担当者が予算達成のために『自身にとって、売りやすいモノだけに注力する』という方向に進みます。売上予算を達成すれば、メデタシメデタシで考慮されないのですが、実のところ『販売しなかった製品群』の機会損失を生んでいる場合も多いのです。つまり、各地区で放置された製品群は、別の専門性ある営業担当者が担当することで、さらに売上高を増やせる可能性が高いのであります。

意識していなかった『セールスエンジニア』(技術営業)という評価

ある大手企業のお客さまを訪問した際のこと。お客さまの近くにあるキーエンスの営業所に、常駐して欲しいというリクエストもありました。理由を伺うと『特に不満ではないのですが、対応頂くセールスエンジニアの方が近くにいらっしゃると、何かと心強いので・・・』とお声をかけて頂きました。正直、この瞬間に鳥肌が立ちました。自身の業務は直販営業でありますが、あくまで『営業』という認識でした。何せ文系出身ですし、技術系の業務とは無縁だと考えていたからです。ところが、お客さまからは世間一般の営業担当者と違ったセールスエンジニア、いわゆる【技術のわかる営業】と評価して頂けたのです。
もちろん、当時は黎明期だったので、こちらのお客さまのリクエストへの対応は、以降に持ち越されます。
そしてキーエンスを退職後。かつて私が担当していた地区に、事業部の営業所が新設されました、ライバル会社に移ったとはいえ、感慨深い出来事でありました。
その後から現在まで、各地に営業拠点が増え、全国津々浦々に専門性ある営業担当者が配置される・・・【専門性】+【地域密着】という最強のスタンスです。いまや『キーエンスの営業体制に隙が無い』といったところでしょうか・・・

余談:【接待交際が無い】ということ・・・キーエンス勤務時代には、あたりまえのような感じていました。ところが、転職して【場合により接待交際もあり】という環境・・・ありのほうがいいかな?とも感じました(つづきは、また別の機会に)