本日は、平成27年(2015年)8月22日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】
土日・祝日のテーマは「バラエティ」で、私が新卒で入社した株式会社キーエンス関連の話題です。
当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。
キーエンスを退職して、当時のライバル会社に転職した後も含めて、最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)
本日は、最近声高に騒がれる【(企業)コンプライアンス】 の話題です。
おおまかに言えば、法令遵守しなさいというあたりまえのことです。
多くの企業で「べからず集」や「百科事典のような長文」まで用意され、従業員教育にあたっているようですね。
ところが、そんな熱心な企業姿勢に反して、残念ながら不正は繰り返えされます。
新聞記事で頻繁に見かける、会社のお金の横領や、商品にウソがある、粉飾決算etc・・・
悪事は、ものの見事に発覚し、企業イメージの失墜、業績低下、ひいては経営危機を招くに至っています。
原因は、そこで働く経営幹部から末端の一般社員の規範意識にバラツキがあるからでしょうか。
働く人全員の規範意識がしっかりしていれば、もちろん不正など起こるはずがありません。
どうも、人が持つ規範意識のレベルというものは、入社試験で見抜けない内容とも想定できます。
もしかすれば、子供時代の育ち(親御さんのしつけ)に依存する内容かもしれません。
そのため、規範意識が無いままに成長した社会人に対しては、簡単なようで難しい教育項目なのかもしれません。
「良い・悪いをはっきりさせる」
不正とは無縁のキーエンス。私がキーエンスに新卒入社した1987年(昭和62年)当時は、現在のように世間一般で「コンプライアンス 」という用語は、氾濫(はんらん)していませんでした。
それでも、創業者の方針である「良い・悪いをはっきりさせる」が、業績への貢献度はもちろん、規範意識についても当然含まれてるものと従業員全員が受け止めていたはずです。
「公私の区別をつける」
キーエンスでは、まず起こりえないことですが、
・会社の電話を私的な通話に利用するに始まり、
・休日、会社の営業車両を私用に利用する(また、そのガソリン代を会社に請求する)。
かなりひどいものとして
・納入業者から私的なリベートを受け取り、相当の金額分を上乗せして、その納入業者に発注する
・会社のお金を私的に流用する。etc・・・
以上のような不正は「公私混同」から起因するものだと理解できると思います。
キーエンスに入社した直後の新入社員の集合研修で、創業者が語った内容が、いまでいうコンプライアンスの核心を突いていたと思います。
それは「公私の区別をつける」であります。
何度か綴っていますが、創業者の凄いところは徹底的に考え抜いた後、(伝える相手の数が多いと理解度にバラツキがある為)相手方全員が理解できるように、わかりやすく説明される点です。
【真の】経営者は、説明能力にも秀でているのであります。
集まる新入社員を前に、キーエンスの創業者が「みなさんには、公私の区別をつけて頂きたい」と話されました。具体的な例として、
「私(創業者)自身も業務で出張する場合があります。業務に必要な交通費は、正確に精算し経理部門に請求しますが、業務に関係の無い私的な費用を、会社に請求することは絶対にありません」。
あたりまえなことのようですが、この説明で「公私混同というものが悪だ」と再認識できます。
また、「公私の区別をつける」というフレーズは、罰則基準のルールようですが、従業員側にもメリットがあったと思います。
キーエンス在職中、「公」に働いている時間は、もちろん残業代も全額支給されました。
また、タイムカード打刻後の拘束(例えば宴席参加)や、休日の職場への呼び出しは一切ありません。
お客さまとの接待交際費も認められていなかったので、平日の宴席参加も無ければ、休日のゴルフや釣りの随行も皆無です。「私」にあたる勤務時間外の行動についても、それこそ法令順守であれば、会社から干渉されることは一切ありません。
さらに、売上目標予算の進捗が芳しくないからといって、営業担当者に休日の勤務も強要されません。 つまり「公(働いている時間)と私(プライベートな時間)」が、はっきり区別されているのです。 この部分が、キーエンスがブラック企業とは無縁だと断言できる理由のひとつです。
最も重要なことなのですが、「公私混同」を経営幹部が行ってしまうと、管理職以下全社員が右にならえとなり、間違いなく会社全体が腐敗に向かいます。こういう悪の伝染の現象について、キーエンスの創業者は、気づいていたに違いなく、前述の「交通費」を例に、経営トップ自らが公私混同と決別する姿勢を明らかにされたのだと思います。
もちろん、キーエンス級の強い会社ならば、みな同じことを心がけていると思います。
本日の内容は、他の世間一般の会社でも、明日からでも実施できることのはずです。
ところが、世間にはまだ勘違いしている方が多いので、驚くことがあります。
例えば「接待交際費」。
お客さま相手でなく、社内メンバー参加のみの懇親会に流用することが発覚すれば、時に株主代表訴訟を起こされてしまいます。特に、経営幹部間の懇親会などは金額自体も大きく、交際費ではないと言い逃れできないのです。
もちろん、株式すべてを社長が保有していれば、事態の早期収拾も可能かもしれませんが、上場企業のように一般に株式が公開されていれば大変です。「知らなかった」「スイマセン」だけでは済まされません。弁済はもちろん、会社を去らねばならないケースも起こりえます。
コンプライアンスを語るには、キーエンスの創業者のように、まず経営トップ自身が「自らを律する姿勢」が必要であることは、間違いないようです。
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