本日は、平成26年(2014年)9月07日日曜日

【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です。

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。先週に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。キーエンスを退職して、当時のライバル会社に転職した後も含めて、最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

私は、とても運が良いといえるでしょう。会社勤務時代の私は、すばらしい上司に恵まれました。まずは、新卒で入社したキーエンス勤務時代の凄腕の上司。一般的な会社でいう統括課長という地位にあたるのでしょうか、ブログで何度もご登場いただきました(代表的な記事は、コチラと、そしてこちらも、さらにコチラも)。

また、転職したライバル会社のアンリツでも、何人かの素晴らしい上司に恵まれました。入社した当時の営業部長は、とても配慮のある方でした。入社して初めて提出した営業日報の類だったと記憶しています。返却された記事欄に「のびのびと頑張ってください、期待しています」と書かれていたことは、今も忘れられません。全体的に営業予算の進捗が悪い際、営業部長は朝礼で「苦しいときこそみなさん【明るく・元気に】を絶対に忘れないでください」と話されます。キーエンス時代とは180°違うものです。

続いて、何年か経って新しく赴任された上司となった営業部長。院卒の開発エンジニア出身、営業経験あり、グローバル(英会話完璧)・・・(正直言って、すごいキャリアだと驚きました)。世の中の技術トレンドにもすこぶる敏感な方です。2000年以降のインターネット全盛時代を遡る1993年の頃です。「いずれルーターという機器が、あちらこちらに敷設されて、(電話局どうしが基幹の)通信のありようが大きくかわる…」と話されていましたが、それを聞かされた当時は、私はもちろん周囲に理解できる人は少なかったと思います。なんせPC自体が爆発的に普及するのが、1995年以降の出来事でしたから・・・

当時のアンリツは、複数の事業部とあまたの製品を展開していましたが、もちろん各々にライバル企業がありました。その中でも、キーエンスが最強の相手であることは間違いないです。そんな強い相手に対して、アンリツに転職してからは、高い精度の製品と、開発・エンジニア部門の重厚なサポートで相当善戦しました。むしろ圧倒していたと思います。

その一方で、営業部長は全国的な視点で、日々激しくなる販売競争で「なるべく簡単に、より効率的に、キーエンスとの販売競争を制することができないか?」を常に意識していて、さらに部門内のメンバーのモラール(士気)は高く、キーエンスの勉強会に負けないほど、日々さかんに研究していたことを覚えています。私自身も「営業スキル以外に、何か役立つもの」を求め、社内の自己啓発のプログラムを使って、マーケティングの通信教育を受講したりもしました。ところが、当時のマーケティングに関する教材やセミナーのほとんどは、残念ながらBtoC(企業-最終消費者取引)に関する理論が中心でした。私が営業駆け出しの時に苦労した営業スキルアップ同様、マーケティングの分野でも、私が期待したBtoB(企業-企業間取引)の実務に役立つ情報については、当時は圧倒的に少なかったはずです。結局は、所属部署で暗中模索・試行錯誤の毎日であったと思います。

ある新製品(今後量産する標準品)の開発~製品化の各段階で、営業のオブザーバーとしてあらゆる場面で同席させて頂く機会を頂いたのも、この営業部長のご配慮でした。キーエンス時代には体験できなかった、商品企画~製品化の習得です。その後、BtoB (企業間取引)・製造業のコンサルタントとして独立した際、キーエンスで培った営業部門のノウハウだけでなく、新製品の企画、開発、マーケティング、販売施策と、すべての段階でワンストップ的に相談対応できるようなったのも、アンリツ時代の貴重な経験がベースとなっています。キーエンスを退職後、アンリツに転職してからの年収は世間相場並みに下がりましたが、入社を決めた時点に感じた「収入以外の何かがあるはずだ」を、まさに体感できたのであります。

さて、肝心の対キーエンスに勝利する手法ですが、キーエンスと同じ販売戦術を全面的に採用することは、無理でありました。ただ、一定の制約がある中で、この上司が指揮する私が所属した営業部門は、対キーエンスで最強の部門だったと思います。当時の私は、対キーエンスを含む販売競争について「完全なる勝利」を確信したのでありました。ところが、そうは簡単にはいかないのであります。

『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。