本日は、平成31年(2019年)4月4日(木)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

キーエンスに入社後、営業のトップ(取締役)との懇談で話されたひとつが、
外出の際は、1件でも多く訪問する』だったと思います。

営業部門で、おろそかにされがちな【】(Volume

私が専門とする経営支援先である、
B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問セールスビジネスの分野で、
業績に貢献する営業力(営業担当者の力)というのは
】(スキル・ノウハウ)の力と、【】(Volume)の力の
双方に依存していることには、間違いないと思います。

特に、新規顧客を獲得することや、
新人の営業担当者を短期間で成長させるには
】(Volume)の部分が、欠かせないものであります。

B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問セールスでの、
独特な営業の【】(スキル・ノウハウ)の修得のみならず、
】(Volume)の実践(実戦)経験が有ってこそ、
営業担当者のレベル上げる(業績アップに貢献する)、
また後輩を育成することが可能となるのです。

】(Volume)の実践(実戦)なき者は、
以前のブログで綴りましたが、【知恵ある怠け者】に過ぎないのです。

キーエンスの【】(Volume)をこなすルール。
外出(顧客訪問)の場合・・・

キーエンスの営業トップが話された『外出の際は、1件でも多く訪問する』。
私が入社した当時と同様、この基本は現在も変わっていないと思います。
営業車を使う
キーエンスの営業部門では、顧客訪問の際、
電車でなく営業効率(移動時間を減らして訪問件数を増やす)を考慮して、
営業車で移動します(当然、要普通免許
・・・キーエンス文系卒の花形:直販営業を目指す方は、
比較的時間の取れる学生時代に、教習所に通うことをおススメいたします)。
メイン顧客となる工場等は、駅から離れている場合も多く、
それは至極当然でもあります。

連日の外出はしない(実は無理)
過去に綴りましたが、連日の外出は不可能です。
理由は、訪問当日より前に必ずアポを取る→訪問前の外出報告(上司の承認)を経て
訪問できるというスタンスだからです。
飛び込み訪問や、アポ無しの訪問で『担当者に会えなかった』という
空振りは、キーエンスでは認められません(禁止)。厳重な注意を受けてしまいます。

訪問日は終日外出
一部の例外事項を除き、所属事業部にかかわらず
外出は原則終日(顧客滞在の時間帯は午前8:30~午後18時程度まで)です。
午前中のみ外出での帰社や、出社後午後のみ外出というスタイルはありえません。

たくさんの事業部がありますが、おおよそ次の2バターンかと。
※1[ある特定の事業部] 即受注につながる活動が中心
・外出週3日
・1日あたりの訪問件数15~20件
※2[その他の事業部]  デモ機持参のPR活動が中心
・外出週2日
・1日あたりの訪問件数4~6件

訪問件数の多い※1は、さすがに全顧客宛てに事前アポは不可能です。
但し、この部門は、アポ無しでも訪問・面談できる顧客が相当数あります。
事前アポ済の顧客宛てに訪問した後、近傍顧客に訪問実施するわけです。
いわゆる『近くに寄りましたので・・・』のスタンス。

以上の訪問件数の多さ?に、
今年、キーエンスに入社された方は、『大変だな』と思われるかもしれませんが、
いま現在では、難なくこなせると思います。
その理由のひとつですが、
私が勤務していた当時と比べて、営業担当者の数が激増しているからです。
よって、営業担当者の担当地区が狭くなっているため、移動時間を減らして
訪問件数が増やせるのであります。

今回、経営トップ・経営幹部の方にも伺います
御社の営業担当者は、ひとりあたり、週に何件訪問されていますか?

キーエンスでは、上記の通り、
@営業担当者ひとりあたり、8件から60件/週の顧客訪問】を実施しています。

連日外出を実施している会社でも、
週の営業担当者ひとりあたりの訪問件数は、8件未満となっていませんか?

その場合、キーエンスにできて、御社で何故できないのでしょうか?
今回、特別に深堀してみます。
まず、『うちの営業担当者は、やる気が無い』という思考は、
除外してください。
御社の営業担当者全員が、キーエンスと同じくモラール(士気)が高いという
前提で考えてみてください。
また、キーエンス同様に担当地区が狭く、移動時間がかからないとします。

それでも、御社ではキーエンスのように
訪問件数を増やすことが難しいはず・・・

実は、キーエンスを真似ようにも、
B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問セールスビジネスの企業のほとんどでは、
訪問件数を増やせない、根本的な理由(各社共通の問題)があるからです。
報酬を上げようが、檄を飛ばそうが無駄なことです。
仮に、キーエンスと同じアポ無しで訪問できる顧客が、たくさんあっても実現不可能です。
また、日中の営業会議を廃止しても変わりません。
極論を言えば、御社の営業担当者が、全員キーエンスの営業担当者であっても
無理だということです。

プロセス管理・KPIを語るものの
現場・本質を知らない経営コンサルタントに要注意

キーエンスの好業績の管理手法を見聞したからでしょうか?
予算実績に加えて、プロセス項目も評価しようという経営コンサルタントが
最近、増えている実感があります。
その考え方は間違っていないと思います。

ところが、
B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問セールスビジネスの分野では、
キーエンス以外の会社が、
営業担当者のプロセス管理項目に、【訪問件数】を即時設定することは、
正直申し上げて、無理があります

前述の、
訪問件数を増やせない根本的な理由(問題)を解決しないまま導入すると、
業績伸長どころか、営業担当者のモラール(士気)が低下するのは確実です。

【訪問件数】を、プロセス管理項目(KPI等)にしたいとされる場合、
私は、まず【訪問件数を増やせない現況】を解決する手順を踏みます。

この解決ができる背景は、
実際の勤務経験があるからこそ、内包する問題に気付いているからです。
B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問セールスビジネスを展開する企業への
コンサルティングには、当該企業での実務経験が必要だといわれるゆえんです。
(何せ、市販されているテキストの類には、記述されていませんから)。