本日は、平成26年(2014年)5月11日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。昨日に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

私がキーエンスに勤務していた1980年代後半当時、キーエンスには労働組合はありませんでした。しかしながら、私にとっては会社選びの要件ではなかったですし、入社後も特に不自由ではありませんでした。休日出勤は皆無、残業代は全額支払われましたし、給与・賞与も当時としては「世間よりいい方」の部類にあって、賃上げ闘争をする必要もなかったからです。何よりも「経済原則という判断基準で正しい」とされることは、提案すれば実現される原則があった為、必要性を感じなかったのかもしれません。そのひとつのエピソードに「残業食の制度」の改善があります。残業食は、入社した時点で既に存在した制度で、確か当日20時以降残業する場合、自己申告することで毎日でも軽食が支給されたのです。金額はひとり500円以内程度だったと記憶しています。個人負担はゼロ。遠慮する必要もなく、誰もが堂々と申請できます。「成長する企業には、残念なことかもしれないが残業は不可避であるということ」。創業者はその現実に、社員が残業できる仕組み(残業代の全額支払い、残業食支給)を構築していたのです。
夏休みなどで帰省して、学生時代の同期と会う機会があり、「残業代全額に加えて残業食まで支給する会社って優遇されているな・・・そんな会社は他にないだろう」と言われて、そのありがたさについて納得しました。そんないい制度でも、私の所属した営業所では、さらなる改善提案がだされました。残業食のメニューは、配達される「ファーストフードのワンフード&ドリンク」または「お蕎麦屋さんの麺類」が基本でした。ところが、我々新卒入社組を含めて、独身の社員が連日22時ごろ帰宅した後に「たいしたものを食べていない」という実態を把握された先輩方が「これでは、体を壊しかねない」と憂慮されて、我々の知らないところで代替するものが無いか検討されていたのです。現在のようにインターネットが無い時代ですから、足で歩いて相当ご苦労されたと思います。しかも調査にあたっては、休日のプライベートの時間を使われて検討されていたと後で知りました。結果、配達可能かつ価格が450円以下というお弁当のお店のメニューを提示して、営業所長と直談判。「従来よりも安い」という経済原則の判断基準にあてはまり、この改善案が承認されたのです。
夕礼の際、提案された先輩(グループリーダーの方だったと思います)から発表されました。「きちんと栄養を考えて健康管理につとめましょう。特に独身の諸君!・・・」。初耳なので、思わず「えっ?」と思いました。なによりも、我々独身組の希望でなく、先輩方が先回りされてのお気遣いからきた提案です。配属された営業所の先輩方は、仕事に対しては厳しいながらも、本当に人間味のある方ばかりでした。
また、定期的に実施される自己申告の制度もあって、言いたいことは意見できたこともあって、私個人の感想では、労働組合がなくても働く上では不自由はなかったと思います。

さて、いま現在、キーエンスに労働組合があるかは定かではありませんが、ちょっと新しいこと知りました。
平成25年6月14日に提出されたキーエンスの有価証券報告書を参照してみたところ、持分法適用関連会社として、日本語ワープロソフトで有名な株式会社ジャストシステムの名前がありました。
そこで、平成25年7月に提出された株式会社ジャストシステムの有価証券報告書を参照すると「平成21年4月に株式会社キーエンスと資本及び業務提携契約を締結、役員4名がキーエンスより派遣」とありました。
さらに、
「平成21年9月に労働組合が結成されました。なお、労使関係は良好です。」と記載されていました。
あくまで個人的な所感ですか、文面通り良好だと思います。キーエンスの役員が派遣されている以上、本日綴った、私のキーエンス勤務時代のように、いいカンジではないでしょうか?
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