本日は、平成30年(2018年)9月4日(火)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】
B2B(BtoB:企業間取引)製造業・訪問セールスというビジネスを展開される
経営トップの皆さまの中には、キーエンスのように高い利益を獲得する
(現有商品を大量に売って・売って・売りまくって、売上総利益を獲得する)
営業担当者を、なんとか自社で揃えられないのか?と
考えておられる方も多いかと存じます。
かつて綴りましたが、
経営を維持・継続、さらに成長するための原資は
売上総利益(粗利:売上高-売上原価)(>>>コチラをクリックしてください)。
売上総利益の額が、従前よりはるかに膨大になるのであれば、
経営トップの皆さまは、精一杯の賃金(世間の常識を超える報酬)を出すのも厭わない
(当然支払います)と、なるはずですね。
現在、キーエンスの営業経験者を、
B2B(BtoB:企業間取引)製造業の分野で中途採用しようとしても、
いまや平均年収が2000万超え(>>>年収の推移を記載した記事はコチラをクリックしてください)と世間相場から相当かけ離れていますので、
あえて大幅な年収ダウンの条件を呑んで、入社される方は少ないかもしれません。
(30年ほど前は、私と同じく【やりがい】を求め、同業に転職する者も少なくなかったです。
ひとつの要因として、当時のキーエンスの年収が1000万を超えることが無かったという
事実もあります)。
ということで、「考えて成果を出す営業担当者」は、キーエンス出身者以外で獲得するという手順を踏む必要がありそうです。
その前段として、是非ご理解して頂きたいことがあります。
それは、キーエンスの営業手法が、これまで世間では存在しない
独自の【新しいセールススタイル】だという点に尽きます。
これまでのBtoC(企業‐一般消費者)とも 従前のB2B(BtoB:企業間取引)の主流とも
異なる【新しいセールススタイル】
私が、就活・就職した1980年代後半当時の話題から、おつきあいください。
今も昔も、モノを売る営業担当者のスキル・ノウハウは、
総じてBtoC(企業‐一般消費者)分野の方が卓越しています。
営業力を身につけるなら(腕一本で食べていくなら)、BtoC(企業‐一般消費者)分野の
セールスに身を置きなさいと、いま現在も力説される方も多いようです
(それは、間違っていないと思います)。
30年前に書店に並ぶセールス関連の書籍といえば、
BtoC(企業‐一般消費者)分野が主流。
自動車、保険等個人宅への訪問セールスの分野で、トップセールスの方が執筆された本・・・
取扱品は異なりますが、なかには個人宅への押し売り指南本のような書籍も
目にした記憶があります。
押し売りは論外ですが、BtoC(企業‐一般消費者)分野では
契約(売る)を増やす営業担当者こそがスターであり、
社内で最も重要視されていたと思います。
一方、B2B(BtoB:企業間取引)のセールスはどうだったでしょうか?
特に技術力が高い(卓越した商品を開発・販売する)メーカーにおいては
営業部門・営業担当者の社内評価は、BtoC(企業‐一般消費者)分野と
正反対、正直言って営業という職務を、軽視される風潮もあったと思います。
営業部門・営業担当者が軽んじられていた当時の一例を綴ります。
私の就活当時、
応募する文系の学生について、成績、人柄は一切考慮せず
いわゆる学力等で、所属部門を決める企業が相当数ありました
(会社説明会で堂々と話されます)。
露骨な具体例として、
国公立大学卒予定者は内勤(経理、総務等々さまざまな部署)、
私立大学卒予定者は、全員例外なく営業部門に配属。
いま現在であれば、ヘンテコな方針でありますが、
当時は、企業業績が確実に右肩上がりの成長が見込めるため
成立したのだと思います。
つまり当該企業の考えは、
「決まった販路をすでに獲得していて、
何か新しいもの作れば、固定客が必ずといっていいほど購入する、
よって営業担当者は誰でもいい」という考えでしょう。
当時は【作れば売れる】、
極端な場合【いい商品だから、お客の方から頭を下げて買いに来る】という
よき時代。
そんな売れて当たり前の状況下では、
営業担当者の業務は、ルーチン業務(固定客訪問、新商品の紹介、受注・納入)でも
問題がないわけです。
ところが、21世紀の現在はいかがでしょうか?
あきらかに30年前当時と外部環境が変化しています。
特に【競争環境】の変化です。
・顧客となる人口の減少で、B2B(BtoB:企業間取引)分野の需要自体も減る
・減少する需要に対する、顧客獲得競争の激化
(競争相手は、増えていく国内ライバル企業は勿論、
国内のライバルを圧倒する力をつけた海外企業とのグローバル競争)
激化する競争環境下では、企業規模に関わらず、売上高(売上総利益)が簡単に
獲得できない時代となりました。
営業部門では、これまでのような
【ひとりでに売れている】
【決まった固定客との取引のみがメイン】という
ルーチンスタイルの営業手法が、いよいよ幕を閉じるかもしれません。
実は、私が新卒入社した30年前のキーエンス。
当時は、グローバル競争は無かったのですが、
現在、B2B(BtoB:企業間取引)分野の製造業が直面している
同様の激しい競争環境下に突入しました。
(上場前、さらなる成長を目指して、ニッチ商品で得た利益を原資に、
さまざま新分野で、複数の大手ライバル企業との同時競争を選択)したので
あります。
当時、キーエンスの創業者が考える「営業部門・営業担当者」のあり方については、
他のB2B(BtoB:企業間取引)分野の製造業とは、異なる考えをお持ちだったと記憶しています。
(現在では主流になりつつある考えだと思いますが、当時は先駆的であることには
間違いありません)。
日はく、「内勤業務は勿論必要であるが、文系の職種で、
もっとも重要なのは営業(営業部門・営業担当者)である」と
次回は、競争環境下におけるキーエンスの営業部門強化、【新しいセールススタイル】確立までの
変遷について、
私見(但し、妥当性があると思います)を綴りたいと思います。
第一感として、BtoC(企業‐一般消費者)分野の営業担当者を
外部よりスカウト(中途採用)することが
最良となりそうですが・・・・果たして。
現在、競争環境下にあるB2B(BtoB:企業間取引)製造業・訪問セールスビジネスの
経営トップの方、働くお若い方(おもに20代の方)にも
ご参考になればと願っております。