本日は、令和2年(2020年)5月13日(水)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】
厄介な新コロナウィルスで、顧客への訪問が【自粛(または禁止)】という
抗うことができない外部環境の変化。
その現況下、
B2B(企業間取引)ビジネスの、今後について言いたい放題(もちろん私見)です。
前回までは、【汎用品】かつ【リピート品】の販売を展開する企業について
綴りました。
今回は、汎用品と正反対に位置する
【受託開発品】(固定顧客)の訪問セールスについて、今後の予想です
B2B(企業間取引)の製造業では、キーエンスのように
【自社で企画開発(個別の特注対応はしない)の商品】を、
幅広い顧客に販売するといったビジネスがあります。
一方、全く正反対に位置するのが、
【受託開発品】による展開です。
簡単に言えば、各顧客のオーダーメイドに対応する
ビジネスでもあります。
ちなみに、私が転職したアンリツでは、
【自社で企画開発(個別の特注対応はしない)の商品】と
【受託開発品】双方のビジネスがありました。
【受託開発品】の中でも、セールス部門に激震が走ると予想されるのが、
取引先が【固定客】(特に取引先が少ない=つまり大口顧客依存)の企業で
あると推察されます。
当該ビジネスは、取引先が【固定客】で安定します。
ただし、同様の商品を供給(リピート)するのみでは、
陳腐化等の要因で、いずれ受注が先細りするのは確実です。
安定を維持する施策として、
【固定客】(取引先)自身も、先を見越して、バリエーション展開やモデルチェンジ、
新しい技術トレンドにあわせた新製品投入を図ります。
この一連の流れで、これまでの納入実績を評価されて、取引実績顧客からの
新たなリクエストに対応すること=受注が確実となっていたわけです。
但し、このビジネスにおけるセールス部門(特に営業担当者)の業務は、
誠に残念ですが、縮小していくのは確実だと思われます。
このビジネスは。固定客相手なので、極論を言えば新規顧客開拓のスキルは不要であり
むしろ営業担当者に求められる、重要なスキルのひとつが『調整力』でありましょう。
最後まで残るとされていた(はずの)、営業担当者の調整業務
受託開発品の受注に際して、かなり技術的に深い内容については、
お客さまのエンジニアと自社の開発エンジニアとの
直接折衝の場が必要です(これまでは対面打合せ)。
効率的に進める為、事前に売り手と買い手それぞれのエンジニアが、
事前に自社内の意見を集約し、交渉に臨みます。
ところが、エンジニアの方の中には、ハイレベルの技術力をお持ちでありながら、
『折衝』が苦手な方がいらっしゃいます
(これは止む無しです。
私のような文系出身者に、回路設計を求めるようなものですから)。
結果、QCDや各種取決め等の段階で、売り手が一方的に不利になることがあります。
それを回避しつつ、お客さまの要求を満たしながら、自社のメリットも確保できるように、
同席し意見を述べてナビゲート(調整)する・・・このビジネスでの営業担当者の重要な役目でもありました。
Web会議で変わる折衝の場
活かせない営業担当者の強み?
新型コロナウイルス騒動で、余儀なくされたテレワーク。
今後、騒動が一段落すると仮定しても、
訪問(対面同席)折衝が、手軽に導入できるWeb会議に移行する流れは、止められないと思います。
ご経験あると思いますが、Web会議は、通信環境によっては音声が途切れる、
聞き取りづらいケースも多く、参加者には集中力が求められ、
緊張感も伴い、疲れます。
短時間で切り上げたいのが、参加者多数の本音。
時短の実現には【デジタル】・【オートマティック的な】発言が求められます。
反対に位置するこれまでの、“雑談”や“少々の脱線”など
アナログ的な内容は忌避されます。
残念ながら、発言する売り手のエンジニアをサポートする
営業担当者の機転の利くアドリブ発言も、買い手からは“面倒な発言”と
解される場合も。
『この場を、かき回さないで・・・』。
これまでの営業担当者の調整力が、活かせない環境下で、
従前のように、売り手がメリットを享受する手法を次回綴ります。
聞いてしまえば、簡単な内容ですが・・・