本日は、令和2年(2020年)4月3日(金)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】
都心の桜は、既に満開です
私自身、人生の終盤を迎えたせいか、
桜を見るたびに、西行法師の、
【願はくは 花の下にて春しなん そのきさらきの 望月のころ】に
思いを馳せます。
・・・立石迷訳(笑):死ぬときは(新暦3月の)満月の頃、咲き誇る桜の下で天寿を全うしたいものだ・・・
新コロナ・ウィルスの影響で、
残念ながら、大幅な景気減速は間違いなさそうです。
日本でも、過去に大きな不況に見舞われました。
私の就活(1986年)の際に、
大変苦戦させられた思い出したくも無い【円高不況】。
そして【バブル経済崩壊】、【消費税(3%→5%)不況】
21世紀の【ITバブル崩壊】、
そして直近で最悪だったのが、10余年ほど前の【リーマンショック】。
非常に残念なのですが、不景気になると、
会社経営者やビジネスマンが
追いつめられる場合が多いと思います。
お若い方からお年寄りまで、強く申し上げたいのですが、
自殺は絶対にいけません。
本日は、不景気に不安を抱いておられる
会社勤めでミドル層の方むけに、是非お耳にいれたい
実話を綴ります。参考になれば幸です。
不景気・リストラで追いつめられる人
そのリーマンショック当時、
ある会合(懇親会)があって、
数名の知人が、それぞれの友人と同伴して・・・と
私にとって初対面の方が、相当数いらっしゃいました。
そのおひとりが、当時リストラの対象となっていたようです。
(私は勿論、周囲は全く気付かなかったのですが
相当思いつめられていたようです)。
ところが、この会合で
ちょっとしたキッカケをつかまれて、
気が晴れて前進されたという内容です。
(昨年、初めてその経緯を知らされて驚きました。
このテーマをブログにすることに、同意頂けましたので
下記に綴ります)。
絶ち切れない【執】(こだわり)との板挟み
この方は、90年代のバブル崩壊で廉価になった
住宅をローンで購入。
奥様が絶対に譲れないとされた
【1戸建ての家】・【(退職して)専業主婦】を叶えたと。
ところが、リーマンショックによる早期退職勧奨。
割増の退職金を自宅のローンに充てても、完済ができない。
奥様から、「子供の大学(学費)どうするの?」と追及される中、
共働きを願いでたところ、
「私が働きにでることはNG(恥ずかしくて、ご近所に顔向けできない」と。
おすまいが、正真正銘の富裕層の方が多く居住されている地区。
奥様は、ご近所の方と、優雅なランチで談笑することが【生きがい】で
あったらしい。
ここで、相当思いつめられたらしいです。
そんな折りに、既記の会合に参加されたのです。
西行法師の生き方
当日の話題は、【不景気で大変だけど、どうする?】がメイン。
宴席ですので『出家して世捨て人にでもなりますか?』との
冗談も飛び交います。
そこで関連のある、出家した西行法師のテーマに移ったと思います。
参加されているある方が、ウンチクを語られます。
西行法師は、仏門の生まれでなく、もともとは武士。
遠く離れた友の家を訪ねて、親しく談笑したのち帰宅。
なんと、既に早馬の知らせがあり。
さっきまで一緒にいた親友の急逝を知らされます。
まさに、この世は【無常】。
思い立って、翌日に武士の身分を捨て出家します。
家を出るときに、止めようとした幼子を振り払い、
武家の地位も、家族を捨てて出家する(これは無情です)という逸話です。
思いつめていたこの方は、この逸話から何かを得たのでしょう。
苦しい現況を、後日息子さんに相談したそうです。
息子さんは、
「入学金だけ何とかして欲しい、学費は自分で稼ぎます」。
早期退職後、息子さんの強いススメで、自宅を売却・その地を離れて
賃貸という新たな生活を始められたそうです。
ちなみに、息子さんは有言実行。
大学に入学後、平日は短時間のアルバイト事務。
さらに、卒業まで毎年の夏休みと冬休み全日は、お中元・お歳暮配達の業務
(時給でなく、1個配達していくらという報酬体系)のスタンスで、
終日配達業務に専念。
4年間の学費全額を、自らで工面されたとのことです。
そして、10余年が経過した昨年。
その息子さんが、ご結婚されたとのことです。
息子さんは、プロポーズの際
「僕の実家に資産は無い。自身の収入で家や車をローンで買うことは
無理ではないが、将来リストラになったら、
容赦なく資産を処分します。納得できる?」
対してお相手の方「もちろん同意します。わたしは、ずっと仕事を続けたい。
ともに働きながら、ともに歩みましょう」と返されたそうです。
立派な息子さんと、素敵な新婦。
お父さんは「生きていてよかった」と実感されたようです。
ここまでが、この方の体験談です。
では、ご本人が
何に追いつめられたのか、その根源をたどってみましょう。
結局は【執】の一文字
・・・「執着」「執念」「固執」・・・
【我執(がしゅう)】ということばでも表現できそうですね。
その根っこは、「こだわり」。
お金は生きるために不可欠です。
でも、生きることに無関係な「こだわり」ごときの為に
命を危うくされては、たまりません。
よくよく考えれば、そんなつまらない
【我執(がしゅう)】なんて、命の大切さに比べれば
どうでもいいことなのです。
この方も、悟りを得られたようです。