本日は、令和元年(2019年)11月24日(日)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】
【情報の非対称性】・・・経済学部の学生さんなら
一度は学ばれていると思います
(このテーマは【中小企業診断士 第1次試験】でも頻出です)。
代表的な【モラルハザード】。
【逆選択】と違い、契約後に発生するものです。
例えば、自動車保険に加入した人物が
『(事故起こしても保険金が支払われるからと)運転が荒くなり、
事故が多発する・・・』。
また、ソ連の共産主義ように、働いても働かなくても報酬が同じであれば、
結果、誰も働かなくなる・・・同じですね(かつて綴りました)。
実は、崩壊したソ連のような企業が、残念ながら現在の日本に
いまだ相当数存在しているようですから、
会社選び(労働契約)は、慎重でありたいですね。
特に、優秀な方の勤労意欲が
失せるのが問題なのであります。
モラルハザード発生の原因
(私見で)何度も綴っていますが、
企業では所属部門に関係なく、成果やあらゆる評価において
社員のうち
優秀(80点以上)2割
普通(60点)6割
※努力要(40点)2割
という【2割の法則】通りの、バラツキがあります。
(同じく私見ですが、バラツキが無いのはキーエンス。
全員70点以上)
ただ、以上の【2割の法則】程度のバラツキは、
大きな問題ではありません。
黒字を維持している会社でも、
上記のバラツキがあるのが、普通だからです。
つまり、※努力要(40点)の方が2割存在しても、
モラルハザードが発生した職場とは
断定できないはずです。
本当の問題はマイナス社員の存在
(この話題。キーエンスの創業者も、
黎明期から今日まで最も危惧したことでもあるはずです)。
赤字になったり、思うほど業績が伸びない要因のひとつが、
マイナスとなる社員(プラス40点どころか、マイナス100点等)の存在です。
例えば、工場の生産現場。
かつて登場頂いた、
『腕一本で転進された』方に
先日、お会いして伺ったお話しを綴ります
(事前に許可を得ています)。
まずはスピードより正確性
最近、生産性云々の話題が注目されますが、
モノづくりでは、仕事のスピードは大きな問題でないと。
曰く、
『ひとつの製品を作る際、原価にもあたる
作業時間は、標準的な人(60点)の人が無理なくできる
設定とするのが普通。
結果、全体的には、仕事の早い2割が、遅い人2割をカバーでき、
通常は丸く収まる』とか。
生産現場での問題は、業務のスピードよりミスの発生だそうです。
職場で最も重要なこと
『人のこころ』
この方は、いわゆる【失われた20年】を、実際の生産現場で体感されています。
本当の問題は、『人のこころ』の問題だと
(かつて綴りました、京セラの創業者と、ほぼ同じお考えです)。
ミスは誰にでもある(仕方のないこと)。ただ、その同じミスを繰り返さないこと。
ミスの撲滅には(自身が若い時にされた)厳しい叱責などは、意味が無い。
肝要なのは、そのミスを改める基本的な考え:『人として何が正しいのか』。
これが喪失した社員が存在した時点で、工場はおしまいだと。
この方が、実際に工場で勤務していた当時。
報酬体系は、終身雇用・年功序列だったそうですが・・・
いわゆる、ひとりで完成させて出荷する製品。
特定の数名(ベテランも若手にも存在)が、作業時間が遅いとともに
信じられないミスを繰り返す。
複数台数を納入したお客さまからクレーム。
不良品とともに、残りの分も容赦なく未開封で返送。
即時の対応を求められる(窓口の営業部門も対応に追われる)。
現品を確認すると、不良の原因は明らかに手抜き作業。
再教育で注意をしようにも、
本人は『私は悪くない』の一転張り。
そして、残業拒否の定時退社。
結局、残りのメンバーが、残業で手直しや再製作にあたる。
これが何度も繰り返される・・・
『公正な評価』に、最も敏感なのが優秀な社員
ここで、真面目な(特に優秀な)社員が
考えたり、オフのシーンで話し合われたとか。
『何故、給料上がらないのか?』
『何故、残業が多いのか?』
・・・無駄な人材を抱えているからだ・・・
『しかも、賃金は同じ。何かがおかしい・・・』
経営幹部にも掛け合うが、
『正社員だからクビにできない』と。
そこに大不況到来、業績低迷。
会社は希望退職を募ります。
様子をみていたら、くだんの問題社員は残留を強く主張して
退職する予定が無い。
それを知った、優秀な社員。退職勧奨(割増し退職金に)応じ
蜘蛛の子を散らすようにいなくなったと。
この方も、同じく退職されたそうです。
厳しい経営者の一部の方に、『マイナスの社員には、
さっさと退職して欲しいという本音』を出す方がいますが・・・
結論からいって、
現在は、正社員を指名解雇することは不可能です。
過去には、問題社員を辞めさせる手法がありました
高度成長期の手法
『来月分の給与を支払うので、今すぐ会社を辞めたまえ!』
↓
20世紀後半の手法
『これより3か月間、これまで通り毎月給料をお支払します。但し、出社しないでください。毎日ハローワークに通ってください』。
↓
ITバブルが崩壊した、21世紀初頭の手法
『あなたが所属する部門は解散します。そこで全部署の責任者に、
あなたの異動を申し入れましたが、残念ながら受け入れる部署・業務がありません。
これより、席を会議室に移してください。
日中は、内線電話を自由に使っていいので、あなた自身が行きたいと思う
部署の責任者に直接交渉してください』。
以上の手法は、成果の出ない社員相手でも、現在は全てアウトです。
さて、工場の話題は上記に綴りましたが、
モラルハザードが発生している企業で
営業担当者に言ってはいけない言葉
(優秀な営業担当者が会社を去ってしまう禁句)を
動画に綴っています(所要2分チョイ程度)。
ご参考までに
[14]モラルハザードが発生した職場で言ってはいけない【優秀な営業担当者が会社を去る】言葉