本日は、令和元年(2019年)8月7日(水)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

キーエンスでは受注案件ひとつごとに、出荷の際に伝票を添付。
なお、伝票は営業所で発行しないと、前回回想しました。
今回は、効率面だけでは無い『意外な効果』について綴ります。

製品の流れ・・・キーエンスの例外なきルール

キーエンスの営業所で勤務していた際、他社を経験された中途採用の先輩から、
『出荷に関してもキーエンスは厳格だ』ということを聞かされたシステムです。
(そのお言葉に、他社勤務の経験の無い新卒の私は、当初何のことか
さっぱり不明でしたが・・・)。
1伝票発行は本社の経理部門で実施(出荷現品に添付)・・・営業部門での発行は禁止(厳禁
お客さまが伝票を紛失された場合の再発行は、もちろん経理部門で実施。
至極当然ですが、記載されている出荷日が変更されることはありません。
2納品は宅配業者が実施・・・営業担当者によるお客さまへの納品は禁止(厳禁
以上は、これまで綴って参りました。
さらに、
3納入先は、契約先か契約先の指定先に限る・・・それ以外は禁止(特に営業所への発送は厳禁

B2B(BtoB:企業間取引)のビジネスで、
営業経験をされている方なら、おわかりだと思います。
上記3点の(厳禁)項目で、何か防げることがあります。

こたえ:もし、上記の1~3を、禁止事項としない場合、
『その気になれば』ですが、不正もできてしまうのです。

例えば、営業部門・営業担当者による売上予算を達成させるための、操作です。

不正な手続きで、なんとか売上を計上。
これは【企業の本当の姿】を隠ぺいしていることになります。
特に、上場企業では言語道断です。
とにかく、時間経過とともに
正規受注分でないものは、当然未入金となります
→別案件の正規受注の入金分で、これを充当する
・・・売掛金管理が、非常に複雑になるとともに、自転車操業の繰り返し。
(担当者が変更となっても、その悪しき慣習が長年引き継がれる・・・)
結末は、資金ショートで事業破たんする危険性もあります。

京セラと同じく、一対一の対応を貫いていたキーエンス
前述の中途採用の先輩、『キーエンスは厳格だ』という見解について

私が、京セラ創業者の稲盛氏の著書、【実学】(日経ビジネス人文庫)を読んで
キーエンスで一対一の対応を貫くことが、効率的であっただけでなく、
本当の効果を知りました。

同書P67~に記載されていた、
不正を防ぎ、社内のモラルを高め、
社員ひとりひとりの会社に対する信頼を強くする』であります。

結局、キーエンスのルールは、締めつけでなく、
社員に罪を起こさせない仕組みでもあったのです。
(実は、社員に優しい会社だと、解して良いと思いました)。

シリーズ【キーエンスと京セラ】。
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