本日は、令和元年(2019年)5月19日(日)
東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】
本日も午後23時台の投稿です。
かつて綴りましたが、私が勤務していた当時、
キーエンスの営業所では、事業部別に3~5名程度の少人数で
ひとつの販売グループが構成されていました
(業績が伸長して増員がなされていきますが、6名以上となれば、
グルーブを2分割、新しいグループリーダーが誕生します)。
この販売グループ単位で、毎月の売上(成果)目標予算必達が求められ、
当月未達成の場合は、反省会開催となります。
1987年に新卒入社した私が、営業所に赴任した当時、
所属した販売グループの座席配置は、下記のイメージです
(「新人」は、私の席)。
この最小ユニット(販売グループ)が、営業所に複数存在するわけです。
メンバー全員を見渡せる角は、グループのリーダー、
あるいは責任者(複数のグルーブを統括するリーダー)の席。
規模の小さい営業所では、責任者は営業所長を兼任していました。
なお、販売グループに営業事務(主に女性)の席を
設けることは、ありませんでした。
この座席についたまま、グループ単位の朝礼・夕礼がなされます。
グループ別の朝・夕礼では、所属事業部に関する連絡事項、競合案件等々の情報共有とともに、
[グループ全体]と[個人別]の売上(成果)予算の進捗、プロセスの確認がなされます。
(・・・進捗の芳しくない方にとっては、正直キツイ毎日でr)。
私が営業所に赴任した後から、退職までの間に
業績伸長。新しい営業所が続々と開設されました。
それに伴い、営業担当者が新営業所へ異動。
そのため、所属した営業所では、机は相当数残ります。
その後、成長→増員で、空席も減っていきますが、
また、新たな営業所を開設するに至ります。
キーエンスの営業所は、拠点数は多いのですが、
所属人数が少ないのと、上記のような机を寄せあうグループ配置の為、
空間的には、世間一般の企業の事務所・営業所より
かなり広かった(いわゆるガラガラ・スキスキ)と思います
(職場環境としては抜群です)。
『島のような販売グループの配置』こそ業績伸長の秘訣
[1]新人の早期育成
日中の電話営業。
上図の配置のおかげで、新人営業担当者は周囲の先輩方の、
対お客さまとのやり取りを、直に聞けます。
上記の新人席(私の席)の周囲は、まさに流派は異なれど
全員が凄腕営業の師匠(非常に勉強になります)。
顧客対応を巡って、どう進めればいいかと悩んでも
とにかく距離が近いので「即時のアドバイス」を受けることが可能です。
また先輩方も、新人の電話対応を
常に耳にすることになります。
新人が電話を切った後に、即アドバイス。
といっても、たまに『いまの電話(対応)は、一体何だ?!(怒)』と、
叱責を受ける場面もありました。
それも、私の成長に際して、ありがたいご指導でありました(本当)。
[2]密なるコミュニケーション
『効果のあった販売手法』『競合案件』等々、各種有益な情報が、
グループ内で即時共有されます。
営業担当者の外出報告を承認するのは、原則グループリーダーであります。
リーダーも同様に電話営業をこなしていますが、この机の配置であれば
メンバーが、お客さまと何を話していているか、どういう行動をとっているか、
常に把握できます。
メンバーが報告・相談する時点で、既にリーダーは概略を理解できている強みがあります。
(もちろん、たくさんの部下を抱えると難しいです。少人数のグルーブだからこそ
可能であるのです)。
会社によっては、上司のレベルにバラツキがあると思います。
良い側として、キーエンスのリーダーと同様の上司が、必ずいらっしゃるはずです。
一方、極端にひどい上司がいると悲惨です。
相談するにしても、とにかく現状説明だけで、時間がかかる場合もありますね。
部下からの口頭相談を全く受け付けず、
今回の相談案件の経緯を、文書(メール)で報告しろ!
・・・いつも、少人数の部下の近くにいて、細かい文書報告をさせているのに、
また、最初に戻って、いちから全て説明が必要なの?!という残念なケース。
そんな愚鈍な上司(グループリーダー・責任者)が、当時存在しなかったキーエンス。
商談の案件については、口頭相談実施で即アドバイス・即決済。
→とにかく話しが早いのであります。
特に、競合案件への対処は、秀逸だった記憶があります。
勤務していた当時、ライバル会社との競争を制して、
受注できる確率が高かったのは、
常にグループ内で、密なるコミュニケーションを図っていたことが、
強みとなったのは間違いありません。
当時、電子メール等は存在していませんでした。
そのようなコミュニケーションの手段が無い時代であっても、
キーエンスでは、少人数での販売グループ制の採用で、
新人育成と持続的な成長を実現していたのであります。