本日は、平成31年(2019年)3月23日(土)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

本日は、B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問ビジネスを展開される企業の
マーケティング活動(販売促進業務)において、
重要となる『営業センス』について、綴りたいと思います。

1987年4月・キーエンスの本社研修
学生気分が抜けない(笑)私が圧倒された朝礼

(いま現在は、どうなっているか不明ですが、
新卒でキーエンスに入社した30数年前の回想です)。

入社早々の4月。本社研修は、世間一般の新入社員と同じく緊張感あふれる毎日。
キーエンスでは、全営業所と本社の各部門で、毎朝朝礼がありました。
入社当初は、始業時間(8:30)の前(8:15)から開始です。

本社での新卒者むけ研修の際は、同期入社が小班に分かれ、連日異なる部門の朝礼に参加。
どの部門でも、進行役の方が朝礼の締めに、
大声で『今日も一日、よろしくお願いいたします!』、
その後全員が、同じく大声で「お願いいたします!」。

特に、毎週月曜日は圧巻です。
当時高槻市の本社1フロア(確か2階)に、
本社勤務の全社員が、列をなして(整列集合)しての全体朝礼。

まずは、響き渡る全員の大声『おはようございます!』でスタート。
冒頭は、必ず創業者の講話(マイクを通じて、静かにわかりやすく伝えられます)。
なお、全体朝礼で創業者が話された内容、
連絡された内容は、全営業所にFAX(当時は電子メールが無い時代です)送信。
全社員が共有します。

ちなみに営業所での朝礼は、日直の朝礼当番が、さらに大きいトーンで
今日も一日、がんばりましょう!』、
対して全員が負けずに大声で『がんばりましょう!』。
さながら、連日エイエイオーの出陣式という感じだったでしょうか?

(なお、その後に転職したライバル会社のアンリツでは、朝礼は毎週月曜日のみ。
朝礼で大声を出す機会など、皆無でありました・・・
大声は、現在のセミナーや研修講師業務まで封印です)。

本社研修を終えて5月に営業所赴任
先輩から言われた意外な言葉(販売促進部門への評価)

営業所に赴任した早々、先輩方からは『本社研修どうだった?』と。
複数の先輩が、『本社には【使えない奴】が、結構いただろ?』
圧倒された本社朝礼を経験しましたので、思わず聞き返しました。【使えない奴】?

先輩方が言う【使えない人物】の定義は、
きちんと業務をこなさない人物。
特に、やり玉に上げられるひとつが、
営業のサポート部門(販売促進業務)所属の
ごく一部(業務やサポートを真面目にやらない人物:怠惰)の
存在らしい。

4月の本社研修中は、連日緊張で意識したことはなかったのですが、
実際に営業所で勤務してからは、営業に配属された者それぞれが
その事実を知ることになります。

そんな背景と、営業所は凄腕の中途採用の営業担当者が
主流を占めていましたので、
『栄転ならともかく、
成績不振で、もし営業所勤務から本社に異動を命ぜられたら、それは生き恥
即時辞表を提出する』という雰囲気が、営業所に漂っていました。

(といっても、当時は本社への異動人事は僅少。
営業所で怠惰な人、成績不振が続く方は、自主退職の時代でした)。
反対に、本社から(キーエンス文系卒の花形である直販営業
自ら志願されて配属される方は、結構いたと思います。

営業所に赴任してから、
成長している(怠慢を許さない、世間より厳しい)キーエンスで、
何故、先輩方が言う【使えない人物】が本社に出現するのか、不思議に思っていました。

理由が
マーケティング活動(販売促進業務)で判明いたします

私が勤務していた1980年代後半のキーエンス。
営業部門の情報を、製品広告に活かすという
素晴らしい流れが始まった頃でもあります、

まだ、Web云々が無い時代です。
当時の製品広告は、紙媒体(雑誌)広告がメインでありました。
掲載された広告について、実施する本社の担当部門より
営業部門に通知されてきます。

現在は、一切のスキが無いキーエンスの製品広告(Webがメイン)。
ところが、勤務していた当時は、
広告を担当する担当者のスキルや考え方について、
【幅広いバラツキ】があったと思います。

あるとき、『何これ?』と突っ込みたくなる製品広告・・・
売れる云々より、お客さまにあらぬ誤解与えないか?という
キャッチコピーを掲載された広告がありました。
(広告内容は、キャッチ一字一句を含めて、
完全に覚えていますが、具体的な内容は割愛いたします)。

懸念された通り、不安になられたお客さまからの問い合わせが
ある営業所に相当数飛び込んだとか。
『出来の悪い広告だ』と、その営業部門から本社に指摘・抗議がなされました
(良い・悪いをはっきりさせる、キーエンスでは正しい手順でしょう)。

問題の広告は、営業部門から伝えていた内容が、
奇をてらってか、見事に曲解されたキャッチコピーに化けていたのです

一方、私が所属する(強硬では無い・穏健な?)販売グループの第1感。
その問題とされる広告に対しては、抗議・糾弾云々より
『いつも正確に情報を伝えているはずなのに、
一体どう転べば、こういうキャッチコピーに辿り着くのか?
こちらの伝え方が悪いのかな?』と、
首をかしげていました。

そこで、販売グループ責任者の一声。
『論議不要!仕方ないよ
だって(広告を制作した人物は)営業経験が無いんだから』。
これで全員即納得。
確かに!営業担当者なら、こういう発想には至らない。

キーエンスの販売促進業務で【使えない人物】の出現理由については、
さまざまな複合要因があるようでしたが、
共通項目のひとつが【営業経験がない】。
これは、キーエンスに限らずほとんどの企業で該当することだと思います。

ここでいう、
販売促進業務の【営業センス】のセンスという言葉は、
簡単に可視化できないものでもありますが、
代表的なのは、
お客さま目線』、あるいは
『日頃、受注までの迷路で培われる瞬時に先を読む力
何かの活動を開始する時、ゴールまでの各段階で、
良い結果・悪い結果を想定できる)』あたりでしょうか。

なお、B2B(BtoB:企業間取引)・製造業・訪問ビジネスでにおける
販売促進業務の【営業センス】は、
天性の素質で持ち合わせている方もいらっしゃいますが、
通常は、実際の営業経験で得られるものでもあります。
もっと厳しく申し上げると、
営業職が務まらない・適正を欠く人物に
販促業務での【営業センス】は、あまり期待できない』ということです。
前述の、キーエンスの営業所の先輩方が『【使えない奴】』とは
『【営業できない奴】』という意味で、使われたことに間違いないと思います。

就活控えた学生さん(主に文系)に、毎度不人気なのが『営業職』ですが・・・

本格的なAI(人工知能)時代突入で、文系の業務が狭まっていくなか
営業職が復権(生き残る、転職市場で高い評価を得るための基本業務)していることも
頭に入れられることをおススメいたします。
(関連記事は⇒>>>コチラをクリックしてください。

秀逸なキーエンス創業者の講話
営業部門以外でも必要な『営業センス』

時期が明確でないのですが、この広告の騒ぎの後だったと思います。
キーエンスの創業者が、取引先の銀行の方から伺ったとされる
以下の講話は、今もハッキリと覚えています。

創業者曰はく、
『銀行では、内勤と外勤(融資等の営業)の業務があるとのことですが、
外勤業務で良い営業成績上げている人を、
(大変もったいないのですが)あえて内勤に配置する場合がある』と。
(とても不思議なことなので、理由を尋ねると)、
『内勤といえども【営業センス】というのは必要であり、
それを持ち合わせ方が少しでもいると、組織がいい方向に回るとのこと』。
創業者が、この話をされた趣旨は、本社で組織をいい方向に持っていくための
注意喚起と捉えても良さそうです。・・・創業者の講話は、常に的を得ています。

ちなみに、
当時のキーエンスで【使えない人物】の扱いと、
どのように出現を防止するかについては、既に綴りました。
>>>コチラをクリックしてください
このシステムで、現在のキーエンスには【使えない人物】は存在しないと思います。

次回は、販売促進で重要な業務のひとつ。
カタログの拡充の前に、
お金をかけずに拡販を目指す『販促リーフレットの活用』について
綴りたいと思います。

B2B(BtoB)のマーケティングは【人の策(知恵)】次第シリーズ
次回(⑪)、
[226]『求められる営業センス』販売促進業務[その2]<カタログ作成の前にリーフレットはいかが?> は
>>>コチラをクリックしてください。