本日は、平成27年(2015年)8月09日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。私が新卒で入社した株式会社キーエンス関連の話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。キーエンスを退職して、当時のライバル会社に転職した後も含めて、最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

繰返しになりますが、BtoB(企業間取引)・訪問型営業のビジネス分野では近い将来、二歩先を行くキーエンス級の強いライバル会社が、次々に出現すると予想いたしました(詳しい記事はコチラをクリックしてください)。そういった事態を予想して、平時のいまから「一歩前進して備える」ことをオススメしているわけです。もちろん、一歩進めることができれば、それは同業の会社に対して一歩差をつけることを意味します。すなわち、競争力が確実にアップするのです

前回のブログ(コチラをクリックしてください)の趣旨ですが、映画を題材にして、経営に必要な(とても重要な)考え方をお伝えしたかったのであります。シンプルで極めてあたりまえの内容ですが、企業規模にかかわらず、意外と実践できていない会社も相当数あると思います。そんな簡単な内容でも、実践できればキーエンス級の強い会社とライバル関係になっても、確実に一歩近づき善戦できるはずです。

今回は、私の専門分野であるtoB(企業間取引)・訪問型営業のビジネス分野の販売戦術の話題です。予め申し上げますが、キーエンスと全く同じ販売戦術を採用する必要性を語っているのではなく、その根柢にある「経営に対する視点・考え方」について、お伝えしたいのであります。
具体的には、キーエンス級の強い企業と、「二歩遅れた」企業とを、決定的に線引きする内容(経営トップの視点)です。経営者や事業責任者の方にとって耳の痛い話しかもしれません。但し「気づきさえすれば、実践することは簡単なこと」でもあります。

高い業績を上げるキーエンス。かつて綴りましたが「販売戦術」にも秘訣があります。
私がキーエンスに入社した30年近く前に、業界で真っ先に確立された販売戦術である「即納」・「無料テスト機貸出」・「修理代替機貸出」・「営業担当者がデモ機を持参して訪問する」・・・これらの戦術が画期的で洗練されているのは、ひとえにキーエンスの創業者が、【真の経営者】の視点で徹底的に考え抜いた結果、あみだされた施策であるということです。重要なのは、その【真の】の部分です。

キーエンスに追随して、同様の販売戦術を採用してはいかが?と取引先からのリクエストや社内から提案があっても、世間一般の企業では「ウチでは無理だ」、「キーエンスが実行できるのはワンマン社長だからだ」、「どれも金のかかることばかりだ)」、「利益率の高い商品を販売するキーエンスだからできるのだ」と、即時に反論されるのがフツーです。こういう外部環境の変化に抗う(あらがう)「思考停止」に近い愚痴を、管理職以下の社員が口にしているのならともかく、経営トップや事業のトップが同じ考えを持っておられるならば、正直申し上げて企業(事業)をさらに成長させることは絶望的であります(特に、高い利益を獲得することなど、夢のまた夢・・・)。
あえて厳しく申し上げると、肩書上は経営者や事業責任者であっても、キーエンスの創業者のような【真の経営者】のレベルに達していなのです。どうあがいても、キーエンス級の強い会社には、一歩どころか半歩すら近づくことすらできないでしょう。

何度も繰り返しますが、キーエンスの販売戦術は「お客さまのメリット(利益)」と「自社のメリット(利益)」が、必ず一致しています(WIN‐WINであります)。
企業業績を上げるための施策立案に際して、本当の「自社のメリット(利益)」を留意されない経営者が多いことが、残念でならないのです。

その留意すべき核心の部分を考察してみましょう。キーエンスの販売戦術である「修理代替機の貸出」を例に綴ります。
修理代替機の貸出による「お客さまのメリット(利益)」は、私のキーエンス勤務時代の経験で綴りました(コチラをクリックしてください)。

では、「修理代替機貸出」を行うことにより、享受できる「自社のメリット(利益)」とは、一体何でしょうか?
解答例①:「お客さまの生産ラインの即時復旧を実現できるので、お客さま満足度が向上する。よってお客さまが設備追加の際、リピート注文(同一機器の繰り返し発注)を期待できる」・・・△確かに自社のメリット(利益)でしょうが、「あくまで将来に期待できる」利益であって、現時点で確実に享受できるメリットではありません。現時点でのメリット(利益)に絞ってみてください。
解答例②:「サービスマンの派遣では、現地で修復できるかが不透明。正常動作する機器を出荷したほうが復旧が確実である」・・・お客さまのメリット(利益)」ではありますが、「自社のメリット(利益)」とは違いますね。

ヒントを出します。
利益を確保するというのは、「いかに損失の度合いを減らせるか」ということでもあります。特筆したいのが、キーエンスが代替機をお客さまに貸出する際に、費用は有償でなく「無償」で実施するという点です。その点も含め、キーエンス以外の企業が、必ず躊躇(ちゅうちょ)する過程を挙げます。もちろん経営判断の原則でもある「会計の視点」です。キャッシュフローを考えれば、代替機(本来は商品)を準備するということは、社内の現金が代替機に化けて現金が減ることを意味します。ましてや無償なんてトンデモナイ!よって「会計」の視点による経営判断では、「無料代替機貸出」の戦術が、まず採用されることはありません。

以上のような、経営者なら誰もが知る会計上の正論にあってもなお、キーエンスが「無料代替機貸出」を実施するのは、キャッシュの減少よりも大きい損失の発生について、キーエンスの創業者が認識したに違いありません。その損失を最小限に抑える手段として「無料代替機貸出」を選択したと考えるのが妥当です。経営において「会計」の考え方は重要ですが 、会計の視点だけで経営は良くならないといわれる所以(ゆえん)、その典型でもあります。

それでは、キャッシュの減少よりも大きい損失とは何か?
実は、具体的な数値(●●万円)として可視化できます。ただいま「なるほど!」と、お気づきになられた経営トップの方もいらっしゃると思います。ただ大変恐縮なのですが、詳細は計算法を含めて経営ノウハウでもあります。経営トップや事業責任者の方に、セミナーや講習の場で、直接お話しいたしております。他のコンサルタントが語らない(おそらく気づいていない)、独自の切り口の普遍的な内容であると思います。

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