本日は、平成26年(2014年)2月16日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】
土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。昨日に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)
前回のブログの通り、研修期間終了直前、私の教育担当の先輩が退職されました。担当されていた片道150km以内地域を分割して、以遠の地区(営業所から500km以上も当たり前)が私の正式な担当地区となりました。(本社研修の際、なるべく関わりたくないと思った難解な精密計測機器の担当になり、遠方はご免だな・・・と心に思っていた地区の担当になるなど、希望とはすべて真逆に進んでいきます)。
遠距離の地区担当であっても、キーエンスの営業部門のルールである「外出の際は終日顧客訪問実施」に変わりありません。そのため、すべて前泊の出張外出となります。その年の担当地区では、異常気象?のせいか、珍しく降雪が少なく冬季も自由に移動できました。こういう面は好運であったような気がします。当時はカーナビなどありません。道路地図とにらめっこしながら、訪問件数を増やす効率的な移動方法などを、1年目にしっかり確立できたのであります。
私の出張パターン。夕礼終了後の18時30分すぎに営業所を出発します。出張の半分は、新幹線と現地レンタカーを組み合わせての移動です。主力2機種のデモ機をいれたおおきなジュラルミンのカバンと、資料をいれた黒のカバン。到着駅付近のレンタカー会社に遅い時間まで待って頂き、宿泊先まで2時間程度、車で移動することもありました。
翌日。朝一番から夕方17時30分頃までフルに顧客訪問。現地18時頃発の為、営業所の帰着は21時を回ることがほとんどでした。
もうひとつの出張パターンが、営業車のみの利用。商談内容によりデモ機の品種が多い場合は、両手で持ちきれないので、夕礼後1800ccの営業車に機器を乗せて、夜の高速道路を走ります。宅配便輸送などの大型車と走る夜です。いちばん多かったのが、片道350km程度の街で宿泊して、翌日の訪問先が順次遠方になるように組んでおくパターンです。連続2日間の顧客訪問で、走行1400kmを超えることもありました。こういう移動距離をこなすキーエンスの営業担当者は、当時全国でも数名程度だったと思います。
いくつか利用させて頂いたビジネスホテル。夜遅くチェックインして、早朝に出発する常連客が珍しかったのか、私のことを覚えて頂いていたようでした。お祭り等の観光シーズンによっては、あちらこちらのビジネスホテルが満員という日でも、電話で「キーエンスです」と名乗るだけで、「あっ、立石様でしょ?」「本日のお泊りですか?お部屋は何とかしますから、お気をつけてお越しください、お待ちしております。」とフロントの方のやさしい対応を、何度も受けたことを覚えています。
営業車を使っての遠方の顧客訪問では、営業所に帰着するのが午後11時以降の場合もありました。当時は、体がキツイと思いながらも、すばらしい先輩方に囲まれた環境下で仕事に熱中できたため、拘束時間の長さは正直苦になりませんでした。
何よりも嬉しかったのが、22時頃まで販売グループの責任者と先輩全員が、必ず帰りを待っていてくださったことです。帰りを待つ先輩方は、残業時間にグループ勉強会の資料準備等をされていましたが、同時に新人の私が訪問先で困ったことが無かったか、帰社後に相談できるようにして頂いたようでした。
遠距離移動も慣れれば苦になりません。しかしながら、先行する複数の大手競合会社はすべて、所属グループの販売地域に営業拠点を配置し地域密着営業を図っていました。私が販売するキーエンスの精密計測機器は後発であり、しかもお客さまからは遠方の拠点にいる我々は明らかに不利です。
遠距離・先行するライバル会社の存在する中で、従来のキーエンスの販売戦術(機器無料貸し出し、直販営業、即納)だけでは、高い目標予算を到底達成できません。知恵を使った工夫が必要だったのであります。
※『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。