本日は、平成25年(2013年)12月28日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】
本日から冬休みという方がほとんどでしょうか?羨ましいかぎりです。休日のテーマは「バラエティ」です。前回に引き続き、株式会社キーエンスの話題です。私の頭の中の記憶を綴ります。もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれませんが。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

1986年(昭和61年)梅雨時。キーエンス(当時の社名はリード電機)の会社説明会に参加。会場は本社でなく大阪市内の某高級ホテルを使った相当広い会場だったと記憶しています。マイクを使った講演の形式。会場はリクルートスーツ姿の学生で満員。当時は紺色のスーツが大半でグレーのスーツ姿はごく一部。いまどきの黒のスーツを着用している学生は皆無です。コーナーの一角には商品であるセンサなど、普段目にすることのない製品が多数展示されていました。壇上に創業者で当時社長の滝崎武光氏が立たれます。着席している参加学生一同に対して堂々と、そして冷静な口調で語りかけます。
記憶に残ったのが
◆(当時は非上場でしたが)株式上場を目指している
◆単に売上高伸長のみの拡大は行わない、重視しているのは従業員ひとりあたりの営業利益である。
◆代理店を通さないユーザーへの「直販」が原則
◆営業担当者は御用聞きの営業や、納品・集金を一切行わない
外出は週2日程度。顧客訪問には営業車を使うが、夏期の移動でも快適なように全車両に冷房を完備している。
接待は行わない。その時間を勉強に費やしている。
◆会社が成長しているので残業はある。ただし、残業代は研修や勉強会を含めて全額支払う(私が勤務していた当時、以上すべてについて、偽りはひとつとして無いです)。
NEW:私が勤務していた当時の労働時間(支払われた残業代)については、>>>コチラをクリックしてください。

そして、終始冷静な口調であった創業者が、終盤語気を強め「私はナンバーワンを目指す」と宣言。出席した学生のほとんどが、これに圧倒されたに違いないです。
続いて、人事の責任者から待遇の説明がありました
◆年間賞与実績が月給の8.6ヶ月以上。
しかしながら、当時のキーエンスの基本給は、他の中小企業と同様に大手企業より低く設定されていました。入社数年で年収1,000万円を超える制度はなく、モデル賃金として20歳代で400万円、30歳代で500万円程度と説明をうけた記憶があります。業績のいい中小企業として、世間相場より100万程度高給であるのは確かだったですが、破格な待遇ではなかったと思います。
ただし、最終面接ならともかく、中小企業の会社説明会で経営トップが登場するということは、とても珍しく新鮮に映ったのは確かであります。紳士的かつ堂々と語る社長の姿に、多くの学生は魅了されたに違いないはずです。収入がいいからという動機より、創業者のビジョンに共感したり、経営を熱く語る姿に惹かれて入社した者が大半だったと思います
他の中小企業の会社説明会では、しどろもどろの若手社員が対応をしたり、営業現場など全く明るくない人事担当者が対応するケースも多く、ごく一部の企業では、勤務していること自体に不満があるのか、初見の学生に対して不遜な対応をとる会社もありました。そんな中で、キーエンスの創業者の経営トップとして、凛として前面に出る姿勢は、中小企業経営者が参考にするべきだと思います(採用のノウハウになるでしょう)。

センサという技術的な商品なのに、文系のほとんどは営業に配属される・・・。その営業の仕事で、納品や接待が無い?毎日外出しなくていい?何か不思議な会社と感じたものの、「直販」というスタイルと、その効果につながる営業利益の追求という方針に、私はいたく感じいったのであります。結局、入社後の「直販営業」という「高いレベルのスキル」の習得が、その後の人生に大いに役立ちました。 次回はキーエンスの入社試験などの記憶をたどりましょうかね…

2014_5_28追記 キーエンスに入社した経験から、正直に個人的所感を申し上げると、キーエンスが「楽に稼げる会社」であるとか「ブラック企業」である・・・ともに間違っていると思います。恐れる必要もありませんが、甘い考えも捨てることです。是非、私のブログを読み進めて、今後の参考にしてください。
2016_6_01追記:キーエンスの会社説明会での出来事を綴りました(詳しくはコチラをクリックしてください)

『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。